高橋盾氏が文化服装学院在学中に立ち上げたブランド「UNDERCOVER」。
ブランド設立から、もう30年の月日が経ちました。
今でもファッション界の第一線で活躍するレジェンド的ブランドです(2020年3月現在)。
今回の記事では、そんなUNDERCOVERが30年の歴史の中で発表したコレクションを全てご紹介します。
はじめに
まずはUNDERCOVER&高橋盾氏についてカンタンに説明します。
- 1969年9月21日群馬県桐生市生まれ。
- 愛称は「SEX PISTOLS」のボーカル、ジョニー・ロットンに似ていることからジョニオ。
- 1989年に文化服装学院に入学
- 文化在学時に同級生の一ノ瀬弘法氏(後の「ヴァンダライズ」デザイナー)と「UNDERCOVER」を立ち上げる。
- 1994年(1994AW)に東京コレクションにデビュー。
- 1997年に毎日ファッション大賞の新人賞・資生堂奨励賞を受賞。
- 2001年に毎日ファッション大賞の大賞を受賞。
- 2002年(2003SS)にパリコレクションにデビュー。
- 2013年に毎日ファッション大賞の大賞を2度目の受賞。
- 2016年にSupremeとコラボ。
UNDERCOVERの歴代コレクションタイトル
下記にて、UNDERCOVERの歴代コレクションのテーマを一覧にしました。
- 1994AW「NO TITLE」
- 1995SS「NO TITLE」
- 1995AW「SPEED/LAST SHOW」
- 1996SS 「UNDER THE COVER」
- 1996AW「WIRE」
- 1997SS「NO TITLE」
- 1997AW 「LEAF」
- 1998SS「DRAPE」
- 1998AW「EXCHANGE」
- 1999SS「RELIEF」
- 1999AW「AMBIVALENCE)」
- 2000SS「TEASTER」
- 2000AW「MELTING POT」
- 2001SS「INTER LOCKING PANELS」
- 2001AW「D.A.V.F.(DECORATED ARMED VOLUNTARY FORCES)」
- 2002SS「THE ILLUSION HAZE」
- 2002AW「WITCH’S CELL DIVISION」
- 2003SS「SCAB」
- 2003AW「PAPERDOLL」
- 2004SS「LANGUILD」
- 2004AW 「BUT BEAUTIFUL…」
- 2005SS 「BUT BEAUTIFUL Ⅱ」
- 2005AW 「ARTS&CRAFTS」
- 2006SS 「T」
- 2006AW 「GURUGURU」
- 2007SS「PURPLE」
- 2007AW「無題(ニットとハイテク)」
- 2008SS「SUMMER MADNESS」
- 2008AW 「UNREALREALCLOTHES」
- 2009SSレディス「GRACE」
- 2009SSメンズ「NEO BOY」「POPTONES」
- 2009AW「EARMUFF MANIAC」
- 2010SS「LESS BUT BETTER」
- 2010AW「AVAKARETA LIFE」
- 2011SS「UNDERMAN」
- 2011AW「MIRROR」
- 2012SS「OPENSTRINGS」
- 2012AW「PSYCHO COLOR」
- 2013SS「NO TITLE」
- 2013AW「ANATOMICOUTURE」
- 2014SS「GODOG」
- 2014AW「COLD BLOOD」
- ※ここからレディスとメンズでテーマが分かれます
「レディスタイトル」「メンズタイトル」です。 - 2015SSレディス「PRETTY HATE BRID」
- 2015SSメンズ「ADVENTURE」
- 2015AWレディス「HURT」
- 2015AWメンズ「NO (B)ORDERS」
- 2016SSレディス「EVIL CLOWN」
- 2016SSメンズ「THE GREATEST」
- 2016AWレディス「PERFECT DAY」
- 2016SSメンズ「Instant Calm」
- 2017SSレディス「PORTRAIT IN JAZZ」
- 2017SSメンズ「IMPROVISATION CONCEPTS」
- 2017AWレディス「BUT BEAUTIFUL III UTOPIE」
- 2017AWメンズ「BRAIN WASHED GENERATION」
- 2018SSレディス「JANUS -THE TWO FACED GOD」
- 2018SSメンズ「Spiritual Noise」
- 2018AWレディス「WE ARE INFINITE」
- 2018AWメンズ「ORDER-DISORDER」
- 2019SSレディス「THE SEVENTH SENSE」
- 2019SSメンズ「THE NEW WARRIORS」
- 2019AWレディス「SUSPIRIUM」
- 2019AWメンズ「DROOGS」
- 2020SSレディス「無題」
- 2020SSメンズ「I HOLD A BEAST, AN ANGEL, AND A MADMAN IN ME」
- 2020AWレディス「MONONOKE」
- 2020AWメンズ「FALLEN MAN」
- 2021SSレディス「The SIXTH SENSE」
- 2021SSメンズ「無題」

東京コレクション
1994AW「NO TITLE」
記念すべきファーストコレクション。シーズンは1994AW。
ヴィヴィアンに影響を受けた高橋氏ならではな、パンクっぽいタータンチェックなどの柄が多く登場しています。
アイテムには、MA-1やスタジャンなどなど。
最近のコレクションでも多く登場するアイテムをモチーフに使っています。
このシーズンのUNDERCOVERの服は、セレクトショップ「ユナイテッドアローズ」でも取り扱われていたそう。
ちなみに買い付けを行ったのは、栗野宏文氏。 彼がこのシーズンのUNDERCOVERのコレクションから感じた言葉が「トラッド・マインド」
パンクでもアバンギャルドでも基本を押さえているブランドは私たちにとって“トラッドマインド”なんだよね。だから、「コム デ ギャルソン」も「アンダーカバー」もトラッドマインド。
『なぜ、今「アンダーカバーなのか?」』WWD FOR JAPAN 2007年6月25日 8Pより
1995SS「NO TITLE」
セカンドコレクションです。
UNDERCOVERでは珍しく、エスニックな要素が強いコレクション。
1995AW「SPEED/LAST SHOW」
3回目なのに「LAST SHOW」。
会場にはニルヴァーナの曲を爆音で流していたそうです。
当時の高橋氏はこのショーで、「東京コレクション参加はさいごにする」と言っていたそう。
1996SS 「UNDER THE COVER」
このシーズンはコレクションを行わずに、本とビデオで服を発表しました。
1996AW「WIRE」
今でもたま~に復刻販売されるモチーフのワイヤー柄は、このシーズンに誕生しました。
1997SS「NO TITLE」
このシーズンも展示会での発表。
像の柄のベストを販売していました。
1997AW 「LEAF」
3シーズン振りに東京コレクションに参加したシーズン。
立体裁断によるカッティングが美しい服が多く登場。
ゴシックなテイストが強いコレクション。
1998SS「DRAPE」
テーマは「ドレープ」。
ドレープがキーワードのコレクションです。しかしただドレープが入った服で終わらせないのがUNDERCOVER。
半分は実際のドレープを入れて、もう半分はプリントのドレープでできている服を発表したシーズン。
このシーズンの服を発表した高橋氏は、自分の服(レディス)がまわりの人に着られていないことに焦りを覚えます。
東京コンセプチュアル3部作 「RELIEF」「EXCHANGE」「AMBIVALENCE」
1997SS「RELIEF」と1997AW「EXCHANGE」、そして1998SSの「AMBIVALENCE」。
この3シーズンを僕は「東京コンセプチュアル3部作」と呼んでいます。
それはなぜか?
なぜならこの3シーズンは、90年代に見られたコンセプチュアル・ファッションの流れを引き継いでいるから。
ここでもう一度解りやすく、90年代によく見られたデザインの例をいくつかあげてみよう。 服が動く。フセインチャラヤン等
服が家具になる フセインチャラヤン等
服が絵になる クリストファーネメス等
服が体となる。コムデギャルソン等
男性服が女性服に コムデギャルソン等
裸に見える服 ウォルター等
ホームレスがラグジュアリーへ ジョンガリアーノ
歴史衣装、民族衣装が西欧服へ ジョンガリアーノ
東洋服が西洋服へ。ケンゾー、イッセイ等
西洋服(3D)が東洋服(2D)へ。マルタンマルジェラ等
服が大きい。マルタンマルジェラ等
人形服の拡大。マルタンマルジェラ等
服が丸い。マルタンマルジェラ等
トルソーが服となる マルタンマルジェラ等
しかしUNDERCOVERの「東京コンセプチュアル3部作」は、そのコンセプチュアルな流れを引き継ぎつつも、日常でも着たいと思える服なんです。
各コレクションの詳細は、次の通りです。
- 1997SS 服のアタリでディテールを表現した「RELIEF」
- 1997AW ファスナーでバラバラにできる服「EXCHANGE」
- 1998SS リバーシブルの服「AMBIVALENCE」
1998AW「EXCHANGE」
東京コンセプチュアル3部作のはじまりのシーズン、1998AWの「EXCHANGE」。
EXCHANGEは日本語に訳すと「交換」です。
アイテムはGジャンやローゲージのニットなどベーシックなアイテムばかり。
EXCHANGEというタイトルの通りに、袖やエリがファスナーでバラバラにできて、交換が可能なプラモデルみたいな服を発表しました。
1999SS「RELIEF」
つづいては1999SSの「RELIEF」。
布のアタリでエリやポケットなどのディテールを浮かび上がらせたシーズン。
素材にはアタリが出やすいコットン素材を多用。
布のアタリを目立たせるために服の色味は、チャコールグレイや白などのモノトーンでまとめたコレクションです。
1999AW「AMBIVALENCE」
アンビバレンスの意味は「両価性、両面価値、(相反する)感情の交錯」です。
ランウェイに登場したのは、全く異なる服を着た双子のモデルたち。
だけども一見違う服のようでも、実は同じ服なんです。
片方の服を裏返すと、もう片方と同じ服になる。
そんなリバーシブルの服を発表したコレクションです。
2000SS〜2002AW 東コレ絶頂期
「東京コンセプチュアル3部作」を発表した後も、UNDERCOVERの勢いは止まりません。
2003SSでパリコレクションデビューするまでに、発表したコレクションはUNDERCOVERの名作コレクションばかりです。
各コレクションの詳細は、次の通りです。
- 2000SS スターウォーズからの影響が感じられる「TEASTER」
- 2000AW 同柄異素材な服「MELTING POT」
- 2001SS ドッキング服な「INTERLOOKINGPANELS」
- 2001AW ミリタリーにジュエリーをつけた「D A .V.F」
- 2002SS チュールに包まれた服 「THE ILLUSION HAZE」
- 2002AW 1着の服が何着もの服に分裂する「WHICH’S CELL DIVISION」
2000SS「TEASTER」
スターウォーズからの影響が感じられるシーズンです。
グラフィックはKAWSとのコラボレーション。 これまでのレディス中心のコレクションとは打って変わり、メンズ中心のコレクションとなっております。
2000AW「MELTING POT」
「人種のるつぼ」がテーマのシーズン。
異素材の組み合わせは無地で行うのが普通。
しかしメルティングポットでは、あえて柄で異素材MIXをしています。
同柄異素材なコレクションです。

2001SS「INTERLOCKING PANELS」
「はめ絵、だまし絵」がテーマのシーズン。
ジャケットとシャツが一着の服になったような服です。
ドッキングな服が特徴のコレクションです。 ドッキングというとsacaiが印象的ですが、UNDERCOVERは20年以上前からドッキングされた服を発表していました。
2001AW「D.A.V.F」
正式名称は「DECORATED ARMED VOLUNTARY FORCES」。
邦題は「宝飾義勇軍」。
ミリタリーアイテムにキラキラと光り輝く宝石をつけたコレクションです。
アーティスト・フューチュラのグラフィックをプリントしています。
2002SS「THE ILLUSION HAZE」
東京コレクションで発表していた時期の絶好調シーズン。
スカートやジャケットがチュールで包まれた服を発表しました。
オズの魔法使いのサントラをBGMにしていました。
一見メルヘンチックな柄も、よーく見るとフランケンシュタインや吸血鬼がプリントされています。
2002AW「WITCH’S CELL DIVISION」
東京コレクションさいごのシーズン。
このシーズンの次のシーズンからは、パリコレクションにデビューします。
テーマは「WITCH’S CELL DIVISION」を日本語にすると次のようになります。
WITCH’S=魔女たち
CELL=細胞
DIVISION=分裂
つまり「魔女の細胞分裂」。
魔女がテーマということもあり、ゴシック色のテイストが強いコレクションです。
1着の洋服がファスナーでバラバラにできて、いろいろなアイテムが誕生します。

アンカバファンの間では、「魔女期」と呼ばれているシーズンです。
この次のシーズン2003SS「SCAB」で、UNDERCOVERはついにパリコレにデビューします。
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