UNDERCOVERの歴代コレクションのタイトルが知りたいな・・・
当記事では、こんな疑問を解決します。
高橋盾氏が文化服装学院在学中に立ち上げたブランド「UNDERCOVER」。
ブランド設立から、もう30年の月日が経つ現在も、その勢いは衰えることはありません。
今でもファッション界の第一線で活躍する、レジェンド的ブランドです(2021年9月現在)。
今回の記事では、そんなUNDERCOVERが30年の歴史の中で発表したコレクションを、全てご紹介します。
はじめに
まずはUNDERCOVER&高橋盾氏についてカンタンに説明します。
- 1969年9月21日群馬県桐生市生まれ。
- 愛称は「SEX PISTOLS」のボーカル、ジョニー・ロットンに似ていることからジョニオ。
- 1989年に文化服装学院に入学
- 文化在学時に同級生の一ノ瀬弘法氏(後の「ヴァンダライズ」デザイナー)と「UNDERCOVER」を立ち上げる。
- 1994年(1994AW)に東京コレクションにデビュー。
- 1997年に毎日ファッション大賞の新人賞・資生堂奨励賞を受賞。
- 2001年に毎日ファッション大賞の大賞を受賞。
- 2002年(2003SS)にパリコレクションにデビュー。
- 2013年に毎日ファッション大賞の大賞を2度目の受賞。
- 2016年にSupremeとコラボ。
高橋氏に関しては『少年マンガの主人公のようなファッションデザイナー【高橋盾氏】』にくわしく書いています。
UNDERCOVERの歴代コレクションタイトル
下記にて、UNDERCOVERの歴代コレクションのテーマを一覧にしました。
- 1994AW「NO TITLE」
- 1995SS「NO TITLE」
- 1995AW「SPEED/LAST SHOW」
- 1996SS 「UNDER THE COVER」
- 1996AW「WIRE」
- 1997SS「NO TITLE」
- 1997AW 「LEAF」
- 1998SS「DRAPE」
- 1998AW「EXCHANGE」
- 1999SS「RELIEF」
- 1999AW「AMBIVALENCE)」
- 2000SS「TEASTER」
- 2000AW「MELTING POT」
- 2001SS「INTER LOCKING PANELS」
- 2001AW「D.A.V.F.(DECORATED ARMED VOLUNTARY FORCES)」
- 2002SS「THE ILLUSION HAZE」
- 2002AW「WITCH’S CELL DIVISION」
- 2003SS「SCAB」
- 2003AW「PAPERDOLL」
- 2004SS「LANGUILD」
- 2004AW 「BUT BEAUTIFUL…」
- 2005SS 「BUT BEAUTIFUL Ⅱ」
- 2005AW 「ARTS&CRAFTS」
- 2006SS 「T」
- 2006AW 「GURUGURU」
- 2007SS「PURPLE」
- 2007AW「無題(ニットとハイテク)」
- 2008SS「SUMMER MADNESS」
- 2008AW 「UNREALREALCLOTHES」
- 2009SSレディス「GRACE」
- 2009SSメンズ「NEO BOY」「POPTONES」
- 2009AW「EARMUFF MANIAC」
- 2010SS「LESS BUT BETTER」
- 2010AW「AVAKARETA LIFE」
- 2011SS「UNDERMAN」
- 2011AW「MIRROR」
- 2012SS「OPENSTRINGS」
- 2012AW「PSYCHO COLOR」
- 2013SS「NO TITLE」
- 2013AW「ANATOMICOUTURE」
- 2014SS「GODOG」
- 2014AW「COLD BLOOD」
- ※ここからレディスとメンズでテーマが分かれます
「レディスタイトル」「メンズタイトル」です。 - 2015SSレディス「PRETTY HATE BRID」
- 2015SSメンズ「ADVENTURE」
- 2015AWレディス「HURT」
- 2015AWメンズ「NO (B)ORDERS」
- 2016SSレディス「EVIL CLOWN」
- 2016SSメンズ「THE GREATEST」
- 2016AWレディス「PERFECT DAY」
- 2016SSメンズ「Instant Calm」
- 2017SSレディス「PORTRAIT IN JAZZ」
- 2017SSメンズ「IMPROVISATION CONCEPTS」
- 2017AWレディス「BUT BEAUTIFUL III UTOPIE」
- 2017AWメンズ「BRAIN WASHED GENERATION」
- 2018SSレディス「JANUS -THE TWO FACED GOD」
- 2018SSメンズ「Spiritual Noise」
- 2018AWレディス「WE ARE INFINITE」
- 2018AWメンズ「ORDER-DISORDER」
- 2019SSレディス「THE SEVENTH SENSE」
- 2019SSメンズ「THE NEW WARRIORS」
- 2019AWレディス「SUSPIRIUM」
- 2019AWメンズ「DROOGS」
- 2020SSレディス「無題」
- 2020SSメンズ「I HOLD A BEAST, AN ANGEL, AND A MADMAN IN ME」
- 2020AWレディス「MONONOKE」
- 2020AWメンズ「FALLEN MAN」
- 2021SSレディス「The SIXTH SENSE」
- 2021SSメンズ「無題」

東京コレクション
1994AW「NO TITLE」
記念すべきファーストコレクション。シーズンは1994AW。
このシーズンにはタイトルをつけていません。
ヴィヴィアン・ウエストウッドの初期作品に影響を受けた高橋氏ならではの、パンクっぽいタータンチェック柄が多く登場しています。
アイテムには、MA-1やスタジャンなどなど。
高橋氏が最近のコレクションでも多用するアイテムを、ベースにデザインを展開。
このシーズンのUNDERCOVERの服は、セレクトショップ「ユナイテッドアローズ」でも取り扱われていたそうです。
ちなみに買い付けを行ったのは、栗野宏文氏。
彼がこのシーズンのUNDERCOVERのコレクションから感じた言葉が「トラッド・マインド」。
パンクでもアバンギャルドでも基本を押さえているブランドは私たちにとって“トラッドマインド”なんだよね。だから、「コム デ ギャルソン」も「アンダーカバー」もトラッドマインド。
『なぜ、今「アンダーカバーなのか?」』WWD FOR JAPAN 2007年6月25日 8Pより
UNDERCOVERの服の魅力は、日常性と前衛性のバランスだと思っています。
一見、アバンギャルドなアイテムも、ファッションのトラッド要素なアイテムや柄を多用することで、バランスを保っているのでしょう。
1995SS「NO TITLE」
セカンドコレクションも特にタイトルはつけていませんでした。
UNDERCOVERでは珍しく、エスニックな要素が強いコレクション。
赤や黄色などの原色を多用していました。
1995AW「SPEED/LAST SHOW」
3回目なのに「LAST SHOW」。
ニルヴァーナの曲が爆音で流れる中、登場するモデルたち。
当時の高橋氏はこのショーで、「東京コレクション参加はさいごにする」と言っていました。
その言葉のとおり、このシーズンから3シーズン間はファッションショー形式での服の発表を休止します。
1996SS 「UNDER THE COVER」
「LAST SHOW」での宣言通り、このシーズンはファッションショー形式の洋服の発表を行いません。
このシーズンはコレクションを行わずに、本とビデオで服を発表しました。
ハリウッドのホラー映画のモンスターのようなヘアメイクが特徴的なシーズンです。
1996AW「WIRE」
このシーズンはファッションショーは行いませんでした。
今でもたま~に復刻販売されるモチーフのワイヤー柄は、このシーズンに誕生しました。
1997SS「NO TITLE」
このシーズンも展示会での発表。
像の柄のベストを販売していました。
1997AW 「LEAF」
3シーズン振りに東京コレクションに参加したシーズン。
テーマは「LEAF」。
久しぶりにファッションショー形式でのコレクションを発表しました。
溜まりに溜まった創造力が爆発するかのように、立体裁断によるカッティングが美しい服が多く登場。
このシーズンは、その後の東京コレクション後期やパリコレで発表される「UNDERCOVERらしいゴシックなテイスト」を初めて見せたコレクションです。
1998SS「DRAPE」
テーマは「ドレープ」。
ドレープがキーワードのコレクションです。
しかしただドレープが入っただけの服で終わらせないのが、UNDERCOVER。
半分は実際のドレープを入れて、もう半分はプリントのドレープでできている服を発表しました。
この頃から高橋氏は、自分のデザインしたレディスの服が、まわりの女性たちに着られていないことに気づき、焦りを覚えます。
その「気づき」から生まれたコレクションが、次のシーズンから3シーズン連続で発表される「東京コンセプチュアル3部作」です。
東京コンセプチュアル3部作 「RELIEF」「EXCHANGE」「AMBIVALENCE」
1997SS「RELIEF(レリーフ)」
1997AW「EXCHANGE(エクスチェンジ)」
1998SSの「AMBIVALENCE(アンビバレンス)」
この3シーズンを僕は「東京コンセプチュアル3部作」と呼んでいます。
それはなぜか?
なぜならこの3シーズンは、90年代に見られたコンセプチュアル・ファッションの流れを感じさせるから。
ここでもう一度解りやすく、90年代によく見られたデザインの例をいくつかあげてみよう。 服が動く。フセインチャラヤン等
服が家具になる フセインチャラヤン等
服が絵になる クリストファーネメス等
服が体となる。コムデギャルソン等
男性服が女性服に コムデギャルソン等
裸に見える服 ウォルター等
ホームレスがラグジュアリーへ ジョンガリアーノ
歴史衣装、民族衣装が西欧服へ ジョンガリアーノ
東洋服が西洋服へ。ケンゾー、イッセイ等
西洋服(3D)が東洋服(2D)へ。マルタンマルジェラ等
服が大きい。マルタンマルジェラ等
人形服の拡大。マルタンマルジェラ等
服が丸い。マルタンマルジェラ等
トルソーが服となる マルタンマルジェラ等
しかしUNDERCOVERの「東京コンセプチュアル3部作」は、上記の例とは異なる点があります。
それは90年代コンセプチュアルファッションの流れに日常性を足しているところ。
この3部作の服たちは、コンセプチュアルでありながら、日常でも着たい服に仕上がっているんです。
各コレクションの詳細は、次のとおりです。
- 1997SS 服のアタリでディテールを表現した「RELIEF」
- 1997AW ファスナーでバラバラにできる服「EXCHANGE」
- 1998SS リバーシブルの服「AMBIVALENCE」
1998AW「EXCHANGE」
東京コンセプチュアル3部作のはじまりのシーズン、1998AWの「EXCHANGE」。
EXCHANGEは日本語に訳すと「交換」です。
アイテムはGジャンやローゲージのニットなどベーシックなアイテムばかり。
EXCHANGEというタイトルの通りに、袖やエリがファスナーでバラバラにできて、交換が可能なプラモデルみたいな服を発表しました。
1999SS「RELIEF」
つづいては1999SSの「RELIEF」。
布のアタリでエリやポケットなどのディテールを浮かび上がらせたシーズン。
素材にはアタリが出やすいコットン素材を多用。
布のアタリを目立たせるために服の色味は、チャコールグレイや白などのモノトーンでまとめたコレクションです。
1999AW「AMBIVALENCE」
アンビバレンスの意味は「両価性、両面価値、(相反する)感情の交錯」です。
ランウェイに登場したのは、全く異なる服を着た双子のモデルたち。
だけども一見違う服のようでも、実は同じ服なんです。
片方の服を裏返すと、もう片方と同じ服になる。
そんなリバーシブルの服を発表したコレクションです。
2000SS〜2002AW 東コレ絶頂期
「東京コンセプチュアル3部作」を発表した後も、UNDERCOVERの勢いは止まりません。
2003SSでパリコレクションデビューするまでに、発表したコレクションはUNDERCOVERの名作コレクションばかりです。
各コレクションの詳細は、次の通りです。
- 2000SS スターウォーズからの影響が感じられる「TEASTER」
- 2000AW 同柄異素材な服「MELTING POT」
- 2001SS ドッキング服な「INTERLOOKINGPANELS」
- 2001AW ミリタリーにジュエリーをつけた「D A .V.F」
- 2002SS チュールに包まれた服 「THE ILLUSION HAZE」
- 2002AW 1着の服が何着もの服に分裂する「WHICH’S CELL DIVISION」
2000SS「TEASTER」
スターウォーズからの影響が感じられるシーズンです。
グラフィックはKAWSとのコラボレーション。 これまでのレディス中心のコレクションとは打って変わり、メンズ中心のコレクションとなっております。
2000AW「MELTING POT」
「人種のるつぼ」がテーマのシーズン。
異素材の組み合わせは無地で行うのが普通。
しかしメルティングポットでは、あえて柄で異素材MIXをしています。
同柄異素材なコレクションです。

2001SS「INTERLOCKING PANELS」
「はめ絵、だまし絵」がテーマのシーズン。
ジャケットとシャツが一着の服になったような服です。
ドッキングな服が特徴のコレクションです。 ドッキングというとsacaiが印象的ですが、UNDERCOVERは20年以上前からドッキングされた服を発表していました。
2001AW「D.A.V.F」
正式名称は「DECORATED ARMED VOLUNTARY FORCES」。
邦題は「宝飾義勇軍」。
ミリタリーアイテムにキラキラと光り輝く宝石をつけたコレクションです。
アーティスト・フューチュラのグラフィックをプリントしています。
2002SS「THE ILLUSION HAZE」
東京コレクションで発表していた時期の絶好調シーズン。
スカートやジャケットがチュールで包まれた服を発表しました。
オズの魔法使いのサントラをBGMにしていました。
一見メルヘンチックな柄も、よーく見るとフランケンシュタインや吸血鬼がプリントされています。
2002AW「WITCH’S CELL DIVISION」
東京コレクションさいごのシーズン。
このシーズンの次のシーズンからは、パリコレクションにデビューします。
テーマは「WITCH’S CELL DIVISION」を日本語にすると次のようになります。
WITCH’S=魔女たち
CELL=細胞
DIVISION=分裂
つまり「魔女の細胞分裂」。
魔女がテーマということもあり、ゴシック色のテイストが強いコレクションです。
1着の洋服がファスナーでバラバラにできて、いろいろなアイテムが誕生します。

アンカバファンの間では、「魔女期」と呼ばれているシーズンです。
この次のシーズン2003SS「SCAB」で、UNDERCOVERはついにパリコレにデビューします。
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