UNDERCOVERが90年代に発表した【東京コンセプチュアル3部作】

今回の記事では、UNDERCOVERが90年代に発表したコレクションについて書きます。

そのコレクションとは、UNDERCOVERが1998-99AW、1999SS、そして1999-00AWの3シーズンに発表したコレクションです。

 

UNDERCOVERの東京コンセプチュアル3部作

  • ファスナーでバラバラにできる1998-99AW「EXCHANGE」
  • アタリで服のディテールを表現した1999SS「RELIEF」
  • リバーシブルな1999-00AW「AMBIVALENCE」

 

高橋氏はこの3シーズンの服を、「パリで発表したかったコレクション」と言っています。

 

東京コンセプチュアル3部作のコレクションは、東京カルチャーと90年代に主流だったコンセプチュアルファッションの流れを絶妙にMIXした服です。

 

まずは東京コンセプチュアル三部作の始まりのシーズン「EXCHANGE」についてご説明していきます。

 

1998-99AW「EXCHANGE」

東京コンセプチュアル3部作の始まりのシーズン「EXCHANGE」。

このシーズンの服は、UNDERCOVERの服なのに、めちゃくちゃ普通です。

シルエットは特にひねりがないストレートライン。

アイテムもドレスは少なく、Gジャンなどのベーシックな物ばかり。

 

さらっと見ただけだと、高橋盾氏がデザインしたとは思えない服ばかり。

 

見たことがない普通の服

こんな「めちゃくちゃ普通な服」に見えるEXCHANGEの服ですが、実は「見たことがない普通の服」なんです。

 

というのも、「EXCHANGE」の服は、

  • えり
  • そで
  • 身頃

がファスナーでバラバラにできるんです。

 

そしてアイテム間で交換ができる。

 

Gジャンにニットの袖を付けることができますし、ニットにGジャンの袖を付けることができます。

 

だから「EXCHANGE」は、一見普通なのに、めちゃくちゃおかしな服なんです。

 

 

「EXCHANGE」は高橋盾氏にとって転換点

EXCHANGEはUNDERCOVERにとって、転換的なコレクションなんです。

なぜかというと、このシーズンからデザイン画を描くようになったから。

 

初めてデザイン画を描いたシーズンだったので転換期でした。

『なぜ、今「アンダーカバー」なのか?』WWD FOR JAPAN vol.1427 7Pより

 

前シーズンの1998SS「DRAPE」までは、ボディに直接布を当てて形出しをする「立体裁断」でデザイン出しを行っていました。

しかしEXCHANGEからはiMacにデザイン画を描いて、デザイン出しを行うようになります。

 

EXCHANGEより前のコレクションと、そのあとのコレクションを見てみると、ひとつ明確な答えに気がつきます。

それはEXCHANGE以後の服は、「平面的な服」になっていること。

 

  • 1997SS「DRAPE」=立体裁断のドレープ服
  • 1998AW「EXCHANGE」=平面的な服。

 

「そのまんまじゃね?」という感じです・・・。

 

でもEXCHANGE以後の服は、「カッティングのラインやシルエットにこだわる」のではなく、そのシーズンの主軸となるアイデアを考えることに力を入れるようになった印象です。

 

 

1999SS「RELIEF」

つづく東京コンセプチュアル3部作の2シーズン目。

テーマは「RELIEF レリーフ」です。

レリーフ

Relief(英), Rilievo(伊)

平面を彫り込むか平面上に形態を盛り上げて起伏を与え、図像や装飾模様を表わす造形表現、およびその作品。浮彫りとも言う。

出典:artscape

 

 
 
 
 
 
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デニムなどのコットン素材に見られる布がこすれて色落ちした時にできる“アタリ”をポイントにしたコレクション。

 

陰翳礼賛

レリーフは、陰影の美しさに重きを置く。

そんな日本的な美意識が体現されたコレクションです。

 

天国と地獄

インスピレーションとなったのは、黒澤明監督の作品「天国と地獄」です。

 

 

 

高橋氏は、ショーの後にパリコレのためにパリに視察に行ったそうです。

 

 

1999-00AW「AMBIVALENCE」

東京コンセプチュアル3部作のさいごのシーズンである「AMBIVALENCE」。

テーマの「AMBIVALENCE」の意味は、

ある対象に対して全く反対の二つの思考、感情、態度などが存在すること。

です。

高橋氏は、どうやってこのアンビバレンという言葉を服で表現したのか?

キーワードは

 「リバーシブルでまったく変わる服」 

です。

 

リバーシブルでまったく変わる服

このシーズンの服は、表と裏でまったく違う表情を見せるリバーシブルな服を発表しました。

 

「AMBIVALENCE」を発表した十数年後。

高橋氏はリバーシブルの服をパリで発表します。

 

それは2018SSに発表した「JANUS -THE TWO FACED GOD」です。

 

2018SS「JANUS -THE TWO FACED GOD」

 

映画「シャイニング」の1シーンのように双子のモデルが登場して始まるシーズン。

このシーズンの洋服も、表と裏で表情がまったく違います。

 

まとめ

もし高橋氏が東京コンセプチュアル3部作をパリで発表していたら、海外でどのように受け止められていた?

今回の記事を書いていて、僕はそればかりが気になって仕方がないです。

当時のファッションの流れはコンセプチュアルなファッションに注目が集まっていました。

  • マルタン・マルジェラ
  • フセイン・チャラヤン

などなど。

きっと90年代のファッションを振り返るときには、UNDERCOVERのコレクションも語られていたと思います。

 

また東京コンセプチュアル3部作のコレクションが好きな方には、

・2000AWの「MELTING POT」

・2004SSの「Languid」

もおすすめのコレクションですので、ぜひ見てみてください。  

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