「【パリコレ史上、もっともマニアックなコレクション】UNDERCOVERの2006SSの「T」期を解説」という記事では、
- 架空の5つのバンド「THEE CROUH」「CHUUUT」「KLAUS」「THE SSSSS」「THEO BURP」
- ジャーマン・プログレッシブロックからのインスパイア
- 立体裁断を用いたドレーピング
というキーワードをもとに、UNDERCOVERの2006SSコレクション「T」について書きました。
まだ読んでいない方は、ぜひ読んでみて下さい。
今回はそのつづきUNDERCOVERの2006AWシーズン、「GURUGURU」について書きました。
UNDERCOVER 2006AWコレクション「GURUGURU」
上の写真は僕がリサイクルショップで買った「GURUGURU」のキャミソール。
まずはテーマになった「GURUGURU」とはどういう意味なのか?
答えは単純で、“衣服をグルグルと巻き付ける”という意味からつけられました。
グルグルと巻き付ける
「GURUGURU」のテーマ通り、服の1部が異様に長く作ってあり、ぐるぐると巻き付けられるようになっています。
今回は、
- 東洋の巻き付けるで、リメイクされたド西洋なアイテムたち
- モデルの顔を覆ったマスク
- 裏テーマの「人の感情やDNAを一切感じさせない」
この3つのキーワードをもとに「GURUGURU」について書いていきました。
東洋の巻き付けるで、リメイクされたド西洋なアイテムたち
「巻き付ける」は東洋の衣服の構造
「巻き付ける」という仕様で服を作るのは、東洋の衣服に見られる構造です。
たとえばインドのサリーなど。
アイテムは反対にド西洋
そんな東洋の「巻き付ける」という衣服の構造と相反してアイテムには、
- ナポレオンジャケット
- モッズコート
- タキシードジャケット
など、ド西洋のアイテムをチョイスしています。
こんなふうに・・・
東洋の“巻き付ける”という構造
×
ド西洋なアイテム
と、1着の洋服に相反する2つの要素を組み合わせています。
モデルの顔を覆ったマスク
東洋と西洋の相反する要素を混ぜ合わせ以外にも、「GURUGURU」で注目するべき点はあります。
それはモデルの顔を覆ているマスクでしょう。
まるで服自体が意思を持って、顔にまで侵食しているかのよう。
モデルが客席に突っ込んでしまったり、閉所恐怖症のモデルからはショーの出演を断られたりもしたそうです。
マスクは初期マルジェラの影響
モデルの顔をマスクで覆ったコレクションといえば、思い浮かぶデザイナーがいます。
そうです。マルタン・マルジェラです。
マルジェラのコレクションでは、よくモデルの顔をマスクで覆うことがよくあります。
モデルの顔を布でや髪の毛で隠す。
そうやって匿名性を演出するのは、マルジェラが生み出した手法の1つです。
高橋氏は、むかしからのマルジェラファン。
GURUGURUで使ったマスクは、マルジェラからの影響でしょう。
マルジェラもデビューした時にひとみさんに「マルジェラ」って人が出てきたと言ってました(笑)。渋谷に店があるらしいというので見に行ったら、エレベーターのところにTシャツを着せたボディがあるんだけど、切りっぱなしでロックの糸もどこも始末していない。
四角い無地のぴょんぴょんが付いてて「何だこれ?」だし、バナナみたいなパットの入っている初期の肩の狭いジャケットも、そこら中にダーツが入っているのに衝撃を受けて、「これでいいんだ」と。
そういうある意味「ダメ」な見本に衝撃を受けました。影響は大きかったですね。『SUMIRE』P22より引用
裏テーマの「人の感情やDNAを一切感じさせない」
「BUT BEAUTIFUL Ⅱ」から作り始めた高橋氏手作りのインスピレーションノート。このシーズンのデザインノートの表紙は、映画「時計じかけのオレンジ」の1シーンでした。
「時計じかけオレンジ」は、不良少年の主人公アレックスが警察によって、人格を変えられてしまうというもの。そんなストーリーの映画です。
学生時代に近所のDVDショップで見つけた「時計じかけのオレンジ」のDVD。
パッケージのウラ側を見たら、「GURUGURU」のインスピレーションノートの表紙と同じ写真が小さく載っていました。
それに気づいた僕は、速攻でレジに持って行きました。
映画の内容と「人の感情やDNAを一切感じさせない」という「GURUGURU」の裏テーマがリンクしていて一人で興奮しました。
服自体は意外とフェミニン
ダークな雰囲気のマスクにばかり気を取られてしまいますが、服自体はよ~く見るとフリルがあしらわれたキャミソールなどのフェミニンな仕上がり。
「GURUGURU」期の服が掲載された雑誌
- 『MEN’S NON-NO』 2006年 2月号 144~151p
- 『high fashion』 2006年 6月号 48~53p
- 『HUgE』 2006年 12月号 124~131p
- 『A MAGAZINE』
さいごに「GURUGURU」の服が掲載された雑誌の一覧です。
この中で強くおすすめする1冊の雑誌があります。
おすすめは『A MAGAZINE』
このシーズンに発刊された『A MAGAZINE』は本当に素晴らしい!
「BUT期」のジョニオ氏の脳内をまとめたポートフォリオですって感じで、何度見ても全く飽きないです。
ちなみに「A MAGAZINE」では、マルジェラがリメイクしたUNDERCOVERのTシャツがのっています。
まとめ
- 東洋の巻き付けるで、リメイクされたド西洋なアイテムたち
- モデルの顔を覆ったマスク
- 裏テーマの「人の感情やDNAを一切感じさせない
今回はこの3つのキーワードをもとにUNDERCOVERの2006AWコレクション「GURUGURU」について書いていきました。
「GURUGURU」はUNDERCOVERのコレクションのなかでは、もっともアンダーグラウンドの香りが強いコレクションの一つではないでしょうか。
みなさんも、もう一度「GURUGURU」のコレクションを見てみて下さい。
「GURUGURU」でアングラの極みのようなコレクションを作り上げたジョニオ氏。つづく2007SSでは、BUT期のクリエイションとは真逆のセクシーでフェミニンな服作りに挑戦します。
『セクシー× UNDERCOVERの毒・・・ 「Purple」を解説』という記事では、くわしく書いておりますので、ぜひ読んでみて下さい。
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