UNDERCOVERが発表してきたコレクションの中でも、異質なシーズンがひとつある。
それは2010SSに発表したコレクション、タイトルは「Less but Better」だ。
今回の記事では、「Less but Better」について次の3つのポイントをもとに書いていきます。
- ミニマルなデザイン
- プロダクトから影響されたカラーパレット
- プラスチックな質感と革の質感の対比
はじめに
この頃のUNDERCOVERは2009SS「GRACE」、そして2009AWと、2シーズンに渡ってレディースのショーを休止していた。
2010SSの「Less but Better」も同様に、レディースの洋服はショー形式での発表は行わずに展示会での発表となった。
しかしこのシーズンに限っては前2シーズンとは一点だけ異なる部分があった。
それはUNDERCOVERにとっては、初の試みとなるメンズライン「UNDERCOVERISM」のショー形式での発表だ。
ちなみにレディースのショーの休止は、その後の2010AW、2011SSと続き、2011AWでパリコレ復帰を果たすまでの計5シーズンの休止となった。
レディスのショーは休止して、メンズラインでの発表。
この時点でもUNDERCOVERの歴史の中では異質なシーズンだったのだが、もう一点筆者がこのシーズンが異質だと感じる点がある。
それは「服自体のデザインのミニマルさ」だ。
ミニマルデザインな「Less but Better」
JUN TAKAHASHI, Undercover’s Fashion Designer
このシーズンはドイツの工業デザイナーであるディーター・ラムス氏のプロダクトから影響を受けて洋服をデザインしたシーズンである。
ディーター・ラムス氏といえば、ブラウンなどでのミニマルなデザインが有名なプロダクトデザイナーだ。
タイトルとなった「Less but Better」も、ディーター・ラムス氏が生み出した言葉である。
それに呼応して、このシーズンの洋服のデザインもミニマルなデザインだ。
ただシンプルなだけではない、意味のあるミニマリズムを体現している。
この2010SSというと、セリーヌがミニマリズムブームを作り出したシーズン。高橋盾氏の高橋盾氏の時代の空気の掴み方は流石の一言である。
プロダクトから影響されたカラーパレット
ドイツのプロダクトデザイナー、ディーター・ラムス氏のプロダクトが持つ雰囲気を服にしたシーズン。
カラーパレットもディーターラムス氏のプロダクトから影響を受けた色使いだ。
- オフホワイト
- グレイベージュ
- オリーブグレイ
- ブラック
プラスティックな質感とオーガニックな革などの融合。
素材にはハイテクなリフレクト素材。
バッグにはスケルトンの豚皮などを使っている。
また服もディーター・ラムスのプロダクトに見られるディテールを再現している。
レザーの持ち手などだ。
ショーで使われた音楽
- 〈PICTURE16〉 FLIM
- 〈24 TRACK LOOP〉 THIS HEAT
- 〈UW〉 BATTLES
- 〈機械によるイジメ(インストゥルメンタル〉ゆらゆら帝国
- 〈TEURASTAMO〉PAN SONIC
ショーで使われた曲は上記の内容です。
ディーター・ラムス本人の反応
このコレクションの仕上がりには、ディーター・ラムス自身も気に入ったそうです。
高橋がディーターに会いにいったときの話などを聞く。今年77歳にしてダンディーさを失わない伝説的なデザイナーは、自分の作品から影響を受けた洋服作りとその仕上がりに相当喜んでいたらしい。
『EYESCREAM』2009年9月号 26Pより
「Less but Better」シーズンに掲載された雑誌
- 『madame FIGARO japon』2010年 3/5号 P134~137
- 『WWD FOR JAPAN MEN’S』 ALL ABOUT 2009AW P12~17
- 『MEN’S NON-NO』2010年2月号 P140~147
- 『POPEYE』2010年4月号 P174~179
- 『high fashion』2009年12月号
- 『VOGUE HOMMES JAPAN』 VOL.3
- 『EYESCREAM』2009年9月号
この中でおすすめする雑誌は『EYESCREAM』です。
巻頭特集が組まれていて、圧巻のボリューム。
まとめ
高橋盾氏は2006SS「・T」でジャーマンプログレッシブロックに影響を受けた服を作ったように、ドイツの文化から影響を受けることが多い。
あなたもディーターラムスのプロダクトを見てからUNDERCOVERの2010SSの服も見てみてください。
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