「【グルグルなド西洋のアイテム】UNDERCOVER-2006AW「BUT BEAUTIFUL Ⅴ(GURUGURU)」」では、
- 東洋の巻き付けるで、リメイクされたド西洋なアイテムたち
- モデルの顔を覆ったマスク
- 裏テーマの「人の感情やDNAを一切感じさせない」
まだ読んでいない方は、ぜひ読んでみて下さい。
だからUNDERCOVERはわからない。
一人の人間の変化を如実に実感したことはありますか。
僕はあります。
それがUNDERCOVERが2007年に発表した「PURPLE」というコレクションを見た時でした。
UNDERCOVER2007SS 「Purple」
「Purple」はUNDERCOVERファンにとっては衝撃的なシーズンなんです。
その理由は過去5シーズンに渡り続いていた、BUT期のダークファンタジーな世界観とは真逆のクリエイションだから。
今回はそんな「purple」について、下のキーワードとともに書きました。
- UNDERCOVERが挑んだセクシーな服
- ディテールに感じるUNDERCOVERの毒
- 高橋氏のデザイナーとしての向上心が感じられるシーズン
UNDERCOVERが挑んだセクシーな服
「Purple」の服は一見するとフェミニンでセクシーな服なんです。
「GURUGURU」の服をデザインしたデザイナーが考えたとは思えない服の数々。
しかも「Purple」を発表したのは「GURUGURU」の半年後だから、おどろきは倍増。
コンセプトやアイディアは抜きで、女性がフィーリングで着たくなるセクシーな服に挑んだシーズンです。
素材にもシルクやシフォンにサテンなどの高級感のある素材を多用。
ちなみにジョニオ氏曰く、「コストとクリエイションのどこで折り合いをつけるのか」に1番悩んだコレクションだそうです。
ディテールに感じるUNDERCOVERの毒
でも「Purple」の服をよ~く見てみると、
・コサージュは近くで見るとニヤリと笑ったドクロ。
・ワンピースのバストの部分はつぶされてクシャクシャに。
・クラッチバックにはラメの手袋がくっついている。
などのディテールで、UNDERCOVER特有の毒が感じられます。
UNDERCOVERが2003AWに発表した「paper doll」では、パンク青年がパリコレをおちょくっている印象でした。
しかし「Purple」はパリコレという世界の舞台に、知性のある大人のユーモアで接している印象。
高橋氏のデザイナーとしての向上心が感じられるシーズン
ちなみに「Purple」期のデザインノートの表紙はシンディ・シャーマンの写真。
このシーズンにアトリエや青山直営店のインテリアをリニューアルして、伊勢丹新宿店にもショップをオープンしました。
また過去5シーズンにわたって発表されていたBUT期と「Purple」以後のクリエイションの違いから、UC特集の雑誌ではよく「Purple」以前・以後という捉えられ方をします。
東コレ時代からのストリート色の強いコレクション、BUT期の延長線上にあるダークファンタジー。これらのテイスト服を作り続けていても、ファンやジャーナリストは満足していたと思います。
しかしジョニオ氏は「Purple」では、あえてそのテイストを卒業して、正統派ラグジュアリーに挑戦しました。
同じように自分自身の過去のクリエイションを捨てて、新しいデザインを追求するデザイナーといえば、川久保玲さんの名前が出てきます。
しかし彼女のデザインは、アバンギャルドという枠の中でいかに自分のクリエイションを塗り替えていくかという戦いだと思います。
それに対してジョニオ氏の場合は、アバンギャルド→正統派ラグジュアリーという大きな変換にチャレンジしています。
「Purple」は、UNDERCOVERのコレクションの中では、もっとも強く“ジョニオ氏のデザイナーとしての向上心”が感じられるシーズンです。
Purple期のショーで使われた音楽
- ・Nouvelle Vague (Echo And The Bunnymen)「Killing Moon」
- ・Nouvelle Vague (Public Image Ltd)「(This is Not A) Love Song 」
- ・Nouvelle Vague (The Clash)「Guns of Brixton」
- ・Nouvelle Vague (The Cramps)「Human Fly」
- ・Nouvelle Vague (the Specials)「Friday Night Saturday Morning」
- ・Nouvelle Vague (Visage)「FadeTo Grey」
このシーズンの音楽はNouvelle Vagueの曲で統一されていました。
ちなみに( )内はカバーしたアーティストです。
「Purple」の服が掲載された雑誌
- 『high fashion』 2007年 2月号 63p
- 『high fashion』 2007年 4月号 194~199p
- 『HUgE』 2007年2月号 120~127p
- 『HUgE』 2007年?月号 144~151p
- 『MEN’S NON-NO』 2007年 2月号 146~153p
- 『装苑』 2007年 2月号 45p
- 『装苑』 2007年 3月号 12 ~19p
- 『WWD MEN’S』 2007SS 18~19p
さいごにPurpleの服が掲載された書籍を記載します。ご興味がある方はぜひチェックしてみて下さい。
まとめ
今回はそんな「Purple」について、下のキーワードとともに書きました。
- UNDERCOVERが挑んだセクシーな服
- ディテールに感じるUNDERCOVERの毒
- 高橋氏のデザイナーとしての向上心が感じられるシーズン
「Purple」は、UNDERCOVERの表現の幅だけでなく、日本人デザイナーの可能性を広げたシーズンです。
ひとさじの毒を盛って。
つづく2007AWでは、ニットとハイテク素材にフォーカスしたコレクションを展開します。
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