火事になったら持ち出すものは何でしょうか?
スマホに財布、もしくは懐中電灯。
こうやって考えてみると火事になった時に持ち出すものは、その時その人にとって一番必要なモノだと思う。
18歳の時に僕の家が火事になっていたら、これを一番先に手に取っていただろうなと思うものがあります。
それがUNDERCOVERのP.I.L Tシャツです
当時の僕の家が絶対に火事になっていたら、このTシャツを確実に一番最初に手に取っていたと思う。
このTシャツは僕が高校3年生の時に買いました。
値段は10,000円。Tシャツ1枚で10,000円ってバカみたいだなと感じる人は多いでしょう。
当時の僕はバイトもしていなかった。
どうやって買ったかというと、当時は麻生政権の真っ只中。
2009年には「定額給付金」が配られたんです。額は20,000円。
僕はその給付金を使ってこのTシャツを買いました。麻生さん、本当にありがとう。
当時は服が大好きで、コレクション雑誌も読み込んでいたけども、そんなに高い服を買うのは初めて。
まずUNDERCOVERのお店に入るの自体に時間がかかった。
お店に入ろうと前まで行っては勇気が出ずに、引き返す。また前まで行って引き返す。
そんなのを繰り返していた。
何往復かした時に、勇気を振り絞ってお店の中に入った。
ハンガーラックにかかっている洋服の中からこのTシャツを見つけ出した時は、嬉しかったな。
その後レジでお金を払った記憶は、緊張していたからかあまり覚えていない。
このTシャツは僕が初めて買ったUNDERCOVERの服なんです。
だから思い入れもハンパない。
買った当時はハンガーにかけて、自分の部屋のカベに画鋲をさして、ずっと飾っていました。
毎日眺めてはニヤニヤ。ニヤニヤ。
Tシャツには、P.I.Lのメンバーがプリントされています。
Tシャツを買った決め手は、もちろんこのプリント。
プリントされているのは、イギリスのロックバンド「P.I.L」のメンバーです。
左上はボーカルのジョン・ライドン。
右上はギターのキース・レヴィン。
左下はベースのジャー・ウォブル。
右下はドラムのジム・ウォーカー。
このTシャツは写真家のデニス・モリス氏とのコラボTシャツで、裾には小さく「Photograph by Dennis Moris」の文字。
田舎の高校生だった僕は、「P.I.L」のこともよくわかっていなかったし、彼らの音楽なんて聞いたこともなかった。
今ほどYouTubeも発達していなくて、手軽に音楽を聞けなかったですし。
あとどこに行けば、彼らのCDが帰るのかもわからなかった。
とにかく完全に見た目のカッコよさだけで、このTシャツを買いました。
そして本当に大切に大切に着ていました。
着るときは、Tシャツの中にもう一枚薄手のTシャツを着ていた。
洗うときは、絶対に裏返してネットに入れて洗っていた。
干す時もどんなに天気が良くても、部屋干し。
そんな風に大切に大切に来ていた甲斐もあってか、今でもプリントは買った当時と同じようにキレイなままです。
買ってから10年以上がたった今も、このTシャツだけは他のTシャツのように気軽には着れません。
何か特別なタイミングで、クローゼットの中のたくさん防虫剤を入れた引き出しから出す。
そして首元が伸びないように、そーっと着ます
たぶんこれからの人生でも、大切に着ていくと思います。
穴が開いてボロボロになるまでも。
いや穴が開いても、修理して着ていきます。
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