「パンク女王 パティ・スミスの生い立ちをキーワードで解説 Part-5 【Easterでの復活】」という記事では、
『Easter』を知るためのキーワード
- パティのアルバムの中では、ポップで聴きやすい曲が多いアルバム
- ブルース・スプリングスティーン作曲のヒット曲〈Because The Night〉
- 裏の表題曲〈Babelogue / Rock ‘n’ Roll Nigger〉と、表の表題曲〈Easter 〉
と、上記のキーワードをもとに、僕の大好きなミュージシャンのパティ・スミス。彼女の【NYでの下積み時代】について書きました。
読んでない方は、是非こちらの記事も読んでみて下さい。
今回の記事では、パティが1979年に発表した4枚目のアルバム『Wave』の解説と共に、彼女の半生を追っていきたいと思います。
『Wave』、そして引退
Wave(ウェイブ) 1979
- Frederick (フレデリック)
- Dancing Barefoot (ダンシング・ベアフッド)
- So You Want To Be (A Rock ‘N’ Roll Star) (ロックン・ロール・スター)
- Hymn (ヒム)
- Revenge (リベンジ)
- Citizen Ship (シチズン・シップ)
- Seven Ways Of Going (セブン・ウェイズ・オブ・ゴーイング)
- Broken Flag (ブロークン・フラッグ)
- Wave (ウェイブ)
Patti Smith – Vocals , Guitar
Lenny Kaye – Guitar
Ivan Kral – Base
Todd Rundgren – Base on〈2〉
Richard Sohl – Keyboard
Jay Dee Daugherty – Drams
Andi Ostrowe – Timpani on〈7〉
Producer – Jimmy Lovine
パティの4枚目のアルバム『Wave』は、彼女のアルバムの中ではもっとも商業的に成功した1枚。しかしその商業的な成功とは反対に、音楽評論家やファンからの評価はあまり高くないアルバムです。
プロデューサーはトッド・ラングレン
プロデューサーには、『something/anything』『A Wizard, a True Star』などのアルバムが有名なトッド・ラングレン。
カバー写真は盟友メイプルソープ
カバー写真を撮影したのは盟友のメイプルソープです。彼がパティのカバー写真を撮影したのは『Horses』以来。
『Wave』のカバー写真では、パティは純白の衣装を着ています。これは後のフレッドとの結婚を暗示しています。つまり純白の衣装はウェディング・ドレス的な意味を持っていたのです。
『Horses』『Radio Ethiopia』『Easter』そして『Wave』。パティが70年代にリリースしたアルバムを見比べると、彼女がどんどんと女性らしくなっていっているのがわかります。
『Wave』の収録曲
『Wave』に収録された曲は、下記の全8曲です。
- フレッド・“ソニック”・スミスへの思いを歌った〈Frederick〉
- シングルカットされた〈Dancing Barefoot〉
- 〈So You Want To Be (A Rock ‘N’ Roll Star)〉
- 優しい歌声が魅力の〈Hymn〉
- 女の情念たっぷりの〈Revenge〉
- 〈Citizen Ship〉
- 〈Seven Ways Of Going〉
- 〈Broken Flag〉
- 表題曲の〈Wave〉
今回は僕が『Wave』でオススメする曲を“3曲”だけご紹介したいと思います。
その3曲は、〈Frederick〉〈Dancing Barefoot〉〈Revenge〉です。
Frederick
〈frederick〉は、『Wave』の中で一番好きな一曲です。初めて聞いたのは18歳の時でしたが、その時はなんかセンチメンタルな感じのメロディだな・・・。
「悲しいことを歌っているんだろうな~」と、感じました。しかし歌詞を読み、曲について調べてみると、僕の解釈は180度間違っていました。
この曲は、当時の恋人で後に夫となる、フレッド・“ソニック”・スミスへの思いを歌った純粋なラブソング。パティの曲でここまでのラブソングは珍しい。
パティが書いた歌詞の中では、ダントツで “男性に対する女性としての力強い思い” が感じられます。
というか『Wave』自体が、フレッドに捧げたアルバム。そんなアルバムの中で、この曲がもっともフレッドへの思いが強く表れています。
つまり〈frederick〉が『Wave』を代表する1曲と言っても、過言ではないでしょう。
Dancing Barefoot
〈Dancing Barefoot〉は、シングルでも発売された1曲です。この曲はアメデオ・モディリアーニの恋人、ジャンヌの葬儀について歌った曲です。
Revenge
先ほど、ご紹介した〈frederick〉とは対照的に〈Revenge〉はパティの情念が宿っている曲といいますか・・・。
まあタイトルが「復讐」ですからね。この曲は別れた彼氏のことを歌っている曲。なんだか全体的に、曲の雰囲気がすごくねちっこいんですよ・・・。
でもね。このパティの情念がこもっている声の感じや、キイキイ鳴くようなギターの音が、パティの歌詞とマッチしています。
だから〈Revenge〉は、ついついクセになってなんども聞いてしまう1曲です。
『Wave』を知るためのキーワード
- 『Wave』はパティのアルバムの中で、最も商業的に成功した1枚
- プロデューサーはトッド・ラングレン
- カバー写真は、『Horses』以来の盟友メイプルソープ
- フレッド・ソニック・スミスを歌った〈Frederick〉
『Wave』をリリースしたパティは、イタリアのフィレンツェでのライブを最後に引退します。そして1980年3月、パティはフレッド・スミスと結婚しました・・・。
さて6回に渡って書いてきたパティの生い立ち記事もこれが最後。
この記事を読んでパティの音楽に興味をいだいた方は、今から彼女の曲を聞いてみてください。パティの生い立ちを知ってから、曲を聞いてみると、また違った魅力が感じられます。
参考文献
さいごに今回の記事を書くために参考にした文献はコチラです。
- 「パティ・スミス 愛と創造の旅路」 ニック・ジョンストン 著 鳥井賀句 訳筑摩書房 2000年 8月
- 「Babel (バベル) 」 パティ・スミス 著 山形浩生・中上哲夫・梅沢葉子 訳思潮社 1994年 1月
- 「レコード・コレクターズ‐特集パティ・スミス」1996年 8月号
「パティについて、もっと知りたい!」という方は読んでみて下さい。
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