【Easterでの復活】パンク女王 パティ・スミスの生い立ちをキーワードで解説 Part-5

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パンク女王 パティ・スミスの生い立ちをキーワードで解説 Part-4 【ハードロックから影響を受けた Radio Ethiopia】」という記事では、

『Radio Ethiopia』を知るためのキーワード 

  • ジャック・ダグラスを起用した最もロック色の強いアルバム
  • パティの ‘‘塩辛い声” が堪能できる超絶オススメ曲の〈Ain’t It Strange〉
  • グランジサウンドの原型と言われている〈Radio Ethiopia/Abyssinia〉
  • 療養中に書き上げた詩集『Babel』

と、上記のキーワードをもとに、僕の大好きなミュージシャンのパティ・スミス。彼女のセカンドアルバム『Radio Ethiopia』について書きました。

 

読んでない方は、是非こちらの記事も読んでみて下さい。

 

 

今回の記事では、パティが1978年に発表したサードアルバム『Easter』の解説と共に、彼女の半生を追っていきたいと思います。

 

アルバム『RadioEthiopia』のツアーの最中にステージから落下したパティは、長期にわたって入院をしました。療養を経て復帰したのがこのアルバム『Easter』です。

 

『Easter』での復活

Easter(イースター) 1978


  1.  Till Victory (ティル・ヴィクトリー)
  2.  Space Monkey (スペース・モンキー)
  3.  Because The Night (ビコーズ・ザ・ナイト)
  4.  Ghost Dance (ゴースト・ダンス)
  5.  Babelogue / Rock ‘n’ Roll Nigger (ベイブローグ~ロックン・ロール・ニガー)
  6.  Privilege (Set Me Free) (プリヴィレッジ)
  7.  We Three (ウィ・スリー)
  8.  25th Floor / High On Rebellion (25階~ハイ・オン・レべリオン)
  9.  Easter (イースター)

Patti Smith – Vocals , Guitar
Lenny Kaye – Guitar , Base , Vocals
Ivan Kral – Guitar , Base , Vocals
Bruce Brody – Keyboard
Jay Dee Daugherty – Drams , Percussion
Producer – Jimmy Lovine

1978年4月に発表された『Easter』。プロデューサーはブルース・スプリングスティーンのアルバムを手掛けていた、ジミー・アイオヴォンです。

 

『Easter』はパティのアルバムの中では、ポップな楽曲が多いアルバム。商業的にも成功していて、アメリカのアルバムチャートでは20位。イギリスでは16位にランクインしました。

 

ちなみにこのアルバムでは、キーボード奏者は初期メンバーのリチャード・ソウルではなく、ブルース・ブロディが担当しています。

 

ジャケット写真の変化

ジャケット写真の撮影はデトロイト出身の女性フォトグラファーのリン・ゴールドスミス。ジャケット写真には初めてカラーの写真が使われました。これはパティのアルバムでは初めて。

 

またこのジャケット写真でパティは、ポーズ、表情ともにどんどんと女性らしくなっています。しかしこれは全て、当時の女性ミュージシャンのアルバムを意識したパロディです。

 

ジャケット写真をよ~く見ると

ジャケット写真のパティのわきをよく見るとわかりますが、わき毛が生えているんですよね。これにはアメリカとイギリスでは物議をかもしたよう。

 

しかしフランスとドイツでは、なんとも思われなかったみたいです。

 

mae-nishi

初めて見た18才の僕もビックリしました。でも同時にパティらしいなとも思いました。

 

『Easter』の収録曲

『Easter』に収録された曲は、下の全8曲です。

  1. 歌詞にパティの復活への喜びが感じられる〈Till Victory〉
  2. アルバムの音の雰囲気を表している〈Space Monkey〉
  3. ブルース・スプリングスティーン作曲の〈Because The Night 〉
  4. レニー・ケイが即興で作った〈Ghost Dance〉
  5. 裏の表題曲の〈Babelogue / Rock ‘n’ Roll Nigger〉
  6. ポール・ジョーンズの曲をカバーした〈Privilege (Set Me Free)〉
  7. 男女の三角関係を歌った〈We Three〉
  8. ギターの音が美しい〈25th Floor / High On Rebellion〉
  9. 表題曲の〈Easter〉

今回は僕が『Easter』でオススメする曲を“3曲”だけご紹介したいと思います。

 

その3曲は、〈Because The Night〉〈Babelogue / Rock ‘n’ Roll Nigger〉〈Easterです。

 

Because The Night

〈Because The Night〉はブルース・スプリングスティーンとの共作曲。

 

パティの曲の中で一番有名な一曲と言っても過言ではありません。この曲は商業的にも成功しており、当時のシングルチャートでは、イギリスでは5位。アメリカでは13位に上がりました。

 


Patti Smith Group – 〈Because the Night〉 (Official Audio)
 

 

〈Because The Night〉は当時の恋人で、後に夫となるフレッド・スミスに向けたラブソングとしても有名。

『ビッグO』誌にこう語っている。「歌詞はフレッドのために私が書いたの。私達は恋に落ちていて、それは意図して書いたものなの。私は彼から離れていて、彼が恋しかった。だから彼に歌を書いて、私がどれほど彼と一緒にいたいかを彼に伝えたの」。

2000年 筑摩書房 ニック・ジョンストン 著 鳥井賀句 訳
『パティ・スミス 愛と創造の旅路』155Pより引用

 

〈Because The Night〉はスプリングスティーンの聞きやすいメロディと、パティの詩の世界が融合した名曲です。

 

 

裏の表題曲〈Babelogue / Rock ‘n’ Roll Nigger〉

続いては、スピード感あふれる〈Babelogue / Rock ‘n’ Roll Nigger〉。彼女はアルバム『Easter』のタイトルを、本当は『Rock ‘n’ Roll Nigger』にするつもりでした。

 

しかしニガーという単語は差別用語の側面があるので、倫理的な問題からNGに。

 

パティはこの曲で、「ニガー」を連呼していますが、パティにとってのニガーという言葉は、差別用語としてのニガーではなく、もっと深い意味があります。

 

彼女にとってのニガーとは、“社会から疎外された者”という意味。「社会に対して反抗している奴ら」という感じで使っていたのだと思います。

 

彼女にとっては、ランボーも、ディランも、ストーンズのメンバーも、黒人ではないけど、ニガーだったのかと。

 

パティは黒人を差別したかったのではなく、リスペクトの気持ちがあったから〈Babelogue / Rock ‘n’ Roll Nigger〉を作ったと、僕は考えます。

 

現に彼女の人生で初めてのボーイフレンドは黒人の少年でしたし。

 

Easter

さいごはアルバム表題曲の〈Easter〉。この曲は表題曲なのですが、この曲だけ、アルバム全体からは少し浮いています。

 

理由としては、『Easter』は全体として、ポップでバンドの音にフューチャーされている曲が多いのですが、この曲はパティの声に印象が残るから。

 

また〈Easter〉を聞いた後に、この次に出されるアルバム『WAVE』の一曲目の〈Fredrick〉を続けて聞くとすごくしっくりときます。まるで姉妹曲のよう。

 

『Easter』を知るためのキーワード 

  • パティのアルバムの中では、ポップで聴きやすい曲が多いアルバム
  • ブルース・スプリングスティーン作曲のヒット曲〈Because The Night〉
  • 裏の表題曲〈Babelogue / Rock ‘n’ Roll Nigger〉と、表の表題曲〈Easter 〉

 

パティは、この曲のアルバムでツアーを行った後、NYからデトロイトに移り住みます。

そしてアルバム『WAVE』を発表したのち、彼女は音楽の世界から引退します・・・。

 

 

参考文献

さいごに、今回の記事を書くために参考にした文献はコチラです。

  • 「パティ・スミス 愛と創造の旅路」 ニック・ジョンストン 著 鳥井賀句 訳筑摩書房 2000年 8月
  • 「Babel (バベル) 」 パティ・スミス 著 山形浩生・中上哲夫・梅沢葉子 訳思潮社 1994年 1月
  • 「レコード・コレクターズ‐特集パティ・スミス」1996年 8月号

「パティについて、もっとくわしく知りたい!」という方は読んでみて下さい。

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