【ロックの名盤 Horses(ホーセス)】パンク女王 パティ・スミスの生い立ちをキーワードで解説 Part-3

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パンク女王 パティ・スミスの生い立ちをキーワードで解説 Part-2 【NYでの下積み時代】」という記事では、

  • 偶然の運命の出会い、ロバート・メイプルソープ
  • チェルシー・ホテルで出会った、ボブ・ニューワース
  • アラン・レイニアとトム・ヴァーライン、2人のミュージシャンからの刺激
  • パティ、レ二ー、ソウルによるパティ・スミス・グループの原型
  • 自主制作レコード、〈Hey Joe/Piss factory〉

と、上記のキーワードをもとに、僕の大好きなミュージシャンのパティ・スミスの【NYでの下積み時代】について書きました。

 

読んでない方は、ぜひこちらの記事も読んでみて下さい。

 

 

今回の記事では、パティのデビューアルバム『Horses』について書きました。

 

ロックの名盤中の名盤、デビューアルバムの『Horses(ホーセス)』

 Horses 1975



1. Gloria (グローリア)
2. Redondo Beach (レドンド・ビーチ)
3. Birdland (バードランド)
4. Free Money (フリー・マネー)
5. Kimberly (キンバリー)
6. Break It up (ブレイク・イット・アップ)
7. Land: Horses/ Land Of A Thousand Dances/ LaMer (De) (ランド)
8. Elegie (エレジー)

Patti Smith – Vocals , Guitar
Lenny Kaye – Guitar
Tom Verlaine – Guitar  on〈6〉
Ivan Kral – Guitar , Base
Richard Sohl – Piano
Jay Dee Daugherty – Drams
Producer – John Cale

『Horses』を一言で表すならば、「詩とロックンロールの融合を実現したアルバム」でしょう。

ローリングストーン誌が選ぶグレイテストアルバム500では44位にランクイン。

 

mae-nishi

まさにロックアルバムの名盤中の名盤です

 

また発売当時のビルボードではトップ50に入りました。

 

このアルバムをリリースしたのは1975年、パティが29歳の時です。

「29歳でアルバムデビューって、かなり遅咲きでは?」と思いませんか。

 

しかし70年代に活躍していた女性ミュージシャンのアルバムデビューした時の年齢と比べると、そこまで遅咲きではないことがわかります。

・ジャニス・ジョップリン=24歳

・キャロル・キング=28歳

・ジョニ・ミッチェル=24歳

キャロル・キングに関しては16歳でシングルデビューはしていましたが、今回はアルバムデビューの年齢で比較しました。

 

プロデューサーにはヴェルヴェットのジョン・ケイル

さてアルバムの話に戻りますが、『Horses』のプロデューサーはヴェルヴェット・アンダー・グランウンドのジョン・ケイルです。

 

ジョン・ケイルとは?

John Cale 1942年3月9日 – 

1942年、イギリスのウェールズに生まれる。ロンドンのゴールドスミス大学では音楽学を専攻。

その後奨学金でNYへと渡る。NYで出会ったルー・リードと同棲を始め、彼と共にバンド、ヴェルヴェットアンダーグラウンドを結成した。

しかしルー・リードとの関係が悪化したため、同グループを脱退。グループ脱退後はソロ活動や現代音楽などにも活動範囲を広げる。

 

パティはもともとヴェルヴェットのファンだったため、アルバムのプロデューサーがジョン・ケイルになって満足しました。

 

しかしジョンはアルバムの音作りや曲の構成など、すべてに意見を出します。

 

これにはパティも不満だったようで、後にこう語っています。

パティは1967年の『ローリング・ストーン』誌にこう語っている。
「私は間違った男を雇ったわ。私が本当に捜していたのは技術的な人間だったの。
その代わりに、完全にイカれたアーティストを雇ったってわけ」

2000年 筑摩書房 ニック・ジョンストン 著 鳥井賀句 訳
『パティ・スミス 愛と創造の旅路』87Pより引用

 

『Horses』において、彼の影響が最も現れたのは〈Birdland〉でしょう。

この曲はもともと4分の曲でしたが、ジョンの意見によって9分を超える曲へとアレンジされました。

 

ロバート・メイプルソープによるカバー写真

このアルバムの魅力は曲だけではなく、なんといってもジャケットに使われた写真

この写真を見ていると、パティの物憂げな視線から目がそらせません。撮影したのは、盟友のロバート・メイプルソープです。

 

このカバー写真には、

  • 人工的な照明ではなく、自然光を使った撮影。
  • メイクもなしで髪の毛もバサバサ。
  • モノクロの写真を使用。

など、当時の女性アーティストのカバー写真としては、画期的な要素が満載です。

 

メイプルソープは壁に差し込んだ、自然光の三角形の光を効果的に使いました。

光をパティの背中の壁に当てて撮影することで、天使の羽根のように見せています。

 

またパティが肩にかけたジャケットや、身に付けている白シャツと黒いジーンズはメンズの洋服です。

 

しかしシャツから、のぞく手首や線の細い体つきはあきらかに女性的。

パティの曲と同じく、彼女が“両性具有のミュージシャンであること”を表しています。

 

アリスタ・レコードは当時、メイプルソープの写真に対してはかなりの不満を持っていたようです。

しかしパティが契約時の“創作上の完ぺきな自由”を主張したので、最終的にはメイプルソープの写真になりました。

 

『Horses』の収録曲

『Hrses』に収録された曲は、下の全8曲です。

  1. 女性の声で歌う、男性的な歌詞が印象的な〈Gloria〉
  2. ポップでレゲエ調の曲だけど、実は・・・な〈Redondo Beach 〉
  3. ジョン・ケイルの影響が表れた、9分の叙事詩〈Birdland〉
  4. レニー・ケイ作曲で、最もポップな〈Free Money〉
  5. パティの妹を歌った〈Kimberly〉
  6. トム・ヴァーラインが作曲・参加した〈Break It up〉
  7. まさに “詩とロックンロールの融合”した曲〈Land〉
  8. アラン・レイニアが作曲・参加した〈Elegie〉

全曲ハズレなしの名盤中の名盤『Horses』

 

今回は僕が『Horses』でオススメする曲を“3曲”だけご紹介したいと思います。

 

その3曲は、〈Redondo Beach 〉〈Break It up〉〈Land〉です。

 

Redondo Beach (レドンド・ビーチ)

まずはアルバム2曲目に収録された〈Redondo Beach 〉。

タイトルのレドンド・ビーチは、カリフォルニアにある実際の海辺から付けています。

 

 

僕が〈Redondo Beach 〉を最初に聞いたときは「陽気な曲だな~、なんか楽しいことを歌っているんだろうな~」と、思いました。

 

しかしそれは大きな間違い。

 

この曲の歌詞は、ある女性の自殺について歌っています。

 

関係は分かりませんが二人の女性がいて、ケンカになります。

片方の女性がいなくなり、もう一人の女性が捜しに行ったところ、いなくなった女性の死体が波に洗われているのを発見してしまう。

という内容です。

 

こんなことを書くと聞く気がなくなるかもしれません。

 

でも最初に書いたように、メロディ自体は思わず身体を揺らしてしまうようなポップな曲で、僕は晴れた日曜日の朝に聞きたくなります。

 

Break It up (ブレイク・イット・アップ)

つづいてはトム・ヴァーラインが作曲し、ギターで参加した〈Break It up〉

この曲はパティが1972年の夏にジム・モリスンの墓に行き、その時に見た夢から生まれました。

 

その夢の主人公はドアーズのジム・モリスン。
夢の中でジム・モリスンは、彼自身の墓石とつながっていて、そこから逃れようと必死にもがいています。

 

〈Break It up〉はその夢を歌詞にしています。

夢で見たジム・モリスンの状況を表現するように、パティの歌声とトムのギターは後半に向けて、助けを求める叫び声のようになっていきます。

 

 

Land(ランド)

最後は〈Land〉です。この曲は詩とロックンロールを見事に融合しています。

 

mae-nishi

まさに『Horses』を象徴する一曲でしょう。

 

〈Land〉は〈Horses〉〈 Land Of A Thousand Dances〉〈 LaMer (De)〉3つのパートから構成されています。

 

僕がこの曲で特に注意してほしいのは、曲の3分50秒あたりから始まる〈 Land Of A Thousand Dances〉のパート。

このパートは、デビュー以前のパティが行っていた、ポエトリーリーディングの雰囲気を感じることができます。

 

『Horses』を知るためのキーワード 

  • “詩とロックンロール” の融合を実現したアルバム
  • プロデューサーは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイル
  • 盟友メイプルソープが撮影した、ジャケットカバー写真
  • オススメは〈Redondo Beach 〉〈Break It up〉〈Land〉の3曲

 

『Horses』でアルバムデビューを果たしたパティ。

 

しかし彼女はこのアルバムに “一つの問題点” を見つけていました・・・。

 

 

 

参考文献

最後に、今回の記事を書くために参考にした文献はコチラです。

  • 「パティ・スミス 愛と創造の旅路」 ニック・ジョンストン 著 鳥井賀句 訳 筑摩書房 2000年 8月
  • 「レコード・コレクターズ‐特集パティ・スミス」1996年 8月号

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